サステナブル経営研究会3月例会は、「ダイバーシティ経営と多様な人材が活躍する組織」をテーマに、株式会社ともに経営研究所の山本利映さんに講演いただきました。
1.はじめに:DEIが拓く組織変革の扉
例会では、現代の組織が抱える人材不足、従業員のモチベーション低下、離職率の高さといった課題に対し、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の視点から解決策を探る議論が交わされました。「組織の『人』に関する悩みは、DEIの考え方を導入することで光が見えるかもしれない」という山本さんのメッセージは、参加者に新たな視点を提供いただきました。
ダイバーシティは、性別、年齢、国籍、障がいの有無だけでなく、キャリアや働き方など、あらゆる多様性を含む概念です。インクルージョンは、多様な人々が互いに尊重され、受け入れられながら共存していく状態を指します。そして、エクイティは、すべての人に平等な機会を提供するだけでなく、個々の状況に合わせて必要なサポートを提供し、不均衡を是正するという考え方です。
野球観戦の例えを用いて、「平等」は皆に同じ高さの台を与えること、「公平」は背の低い人に必要な数の台を与えること、そして最終的に目指すべきは「公正」として、塀そのものを取り払い、誰もが平等に観戦できる状態にすることと、わかりやすく説明いただきました。
2.なぜ今、ダイバーシティ経営が重要なのか:背景と組織にもたらす魅力
少子高齢化が進む日本において、労働力不足は深刻な課題です。従来の画一的な採用や働き方では、多様な人材の活躍を促すことはできません。女性、子育て世代、介護を担う世代、シニア層、障がいのある方、外国籍の方々など、これまで十分に活躍の機会を得られなかった人々を含め、誰もがその能力を最大限に発揮できる環境を整備することが急務となっています。
ダイバーシティ経営を推進することで、組織には多くのメリットがもたらされます。イノベーションの創出、生産性の向上、人材獲得力の向上、リスク管理能力の向上などが期待できます。個々人に制約があるからこそ、お互いに助け合い、チームワークを発揮し、ワークライフバランスを重視することで、組織全体の成果を高めることができるのです。従業員の満足度向上、離職率の低下、企業イメージの向上にも繋がります。
3.トランプ政権の動向と日本におけるDEI推進の課題
例会では、トランプ政権におけるDEIへの逆風についても触れられました。アメリカのグローバル企業の一部でDEIの取り組みを縮小する動きがあることが紹介され、その背景について意見交換が行われました。参加者からは、「数値目標設定の意義」や、「DEI推進における公平性の確保」、「意識改革の必要性」など、様々な視点から意見が出されました。
特に、ポジティブアクションの必要性や、過去の社会構造における不平等を是正するための取り組みの重要性が指摘されました。一方で、頑張っている人材への配慮や、制度導入における不公平感の解消も重要な課題として共有されました。ステレオタイプによる偏見が、多様な人材の成長を阻害する可能性についても議論され、意識的な変革の必要性が強調されました。
4.DEI実践への道:導入のヒントと事例紹介
DEIを組織に導入し、継続していくためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、トップの覚悟と明確なコミットメントが不可欠です。しかし、目先のメリットが見えにくい場合もあるため、「自社の課題に合わせた具体的な目標設定」と、「従業員への丁寧な説明と理解促進」が重要となります。
導入のステップとしては、「一部の部署からスモールスタートする」ことや、「従業員の意見を積極的に取り入れながら進める」ことが推奨されました。制度設計の場面においては、一部の社員だけが優遇されるような不公平感が生じないような配慮の必要性を示唆いただきました。
事例紹介では、写真館における定休日見直しと付箋会議の実施による売上向上、が紹介されました。特別な制度を導入するだけでなく、既存の業務を見直し、誰もが働きやすい環境を作ることが、組織全体の活性化に繋がることを示唆しています。
5.まとめ
例会全体を通して、DEIは単なるトレンドではなく、これからの持続可能な組織づくりに不可欠な考え方であることが改めて確認されました。できることからDEIの取り組みを始めていくことの重要性を認識できました。
山本さん、ありがとうございました!!