第49回定例会 活動報告(2024.9.20)

 第49回の定例会は、オンラインでの開催です。今回は、公開で実施することになり、埼玉県中小企業診断協会 SDGs共創経営研究会からもご参加いただきました。
前半は、実際に廃棄物行政を担当されていた会員から、廃棄物行政の実際とそこから得られた循環型経済に向けた示唆についてお話ししていただきました。後半に、SDGsの文脈でも注目されている埼玉県の石坂産業を見学した別の会員より、状況を報告していただきました。昨今注目される、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向け、廃棄物に関する課題や方向性を議論できる機会となり、有意義な例会となりました。

1.廃棄物行政と循環型社会

 廃棄物とは何でしょうか? その定義を確認する導入から始まり、廃棄物の総合判断説(物の性状、排出の状況、取り扱い形態などから廃棄物かどうか判断される)の解説、豆腐のおからが廃棄物と判断された事例紹介などから、学びを深めていきました。
 つづけて、ブレークアウトルームに分かれ、「廃棄物の課題と解決方法について考える」ワークを行いました。ワークの後、各ルームより発表を行い、全体共有することでさらに掘り下げていきました。廃棄物処理施設の老朽化の問題(効率が悪いとCO2排出量も多くなる)、処理が難しい廃棄物を減らすために設計段階から考える必要があるなど、さまざまな課題感が共有されました。
 さらに、産業廃棄物とは何か? その定義を確認し、産業廃棄物の処理や収集運搬をするための手続きについて学んでいきました。手続きが複雑で大変そうです。さらに、診断士と産業廃棄物のかかわりとして、(1)補助金(2)産業廃棄物処理業者の経営支援(3)製造業から排出される産業廃棄物に関する支援について、考察を進め、2回目のブレークアウトルームを行いました。お題は、「診断士として、どのような部分で廃棄物とかかわることができるか?」です。うーん、ちょっと難しいかなと思いましたが、さすが診断士の皆さん、活発に議論されていたようです。今回の学びを、今後の診断士の活動に活かしていきましょう!

2.石坂産業訪問報告

 皆さん、石坂産業をご存知でしょうか?埼玉県の従業員200名程度の会社ですが、近年注目を集めている会社です。その会社を当研究会の会員が訪問し、その時の様子を報告いただきました。会社のビジョンが「Zero Waste Design」。『再生可能な設計・ものづくりをする社会を目指し、あらゆるごみを資源として循環させ、「ごみ」という概念そのものをなくす。』という思いで、事業を行っている、まさにSDGsの最先端を行く会社です。

訪問時の様子です。廃棄物の会社とは思えない、自然豊かな環境で、併設の農園で野菜の栽培もおこなっていて、その野菜を使った食事も体験でき、休憩スペースもあります。

 その石坂産業ですが、昭和42年の創業以来の道のりはかなり厳しく、最先端(当時)のダイオキシン対策焼却炉を導入したことで、所沢ダイオキシン問題の余波で周辺の農家からやり玉に挙げられるなど、苦難の連続だったそうです。リサイクル施設の見学ルートを設けるなどその逆境を乗り越え、今では求人に多くの人が応募しているそうです。高い技術力のもと、一般的なごみの再資源化率(50~60%)を大きく上回る、98%を達成しています。
 循環型社会の実現には、産廃業者をみんな石坂産業みたいな会社にする必要がありますね。

 以上、第49回定例会の報告でした。
当研究会では今後も、多方面にサステナビリティ経営やSDGsの意義を普及し実践していくべく、活動してまいります。
ご支援・ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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