第22回定例会 活動報告(2022.6.17)

 2022年6月17日、ADS株式会社の廣水乃生さんを講師に招き、第22回定例会をオンラインで開催しました。参加者は、新会員やオブザーバーを含めて32名。SDGs共創経営研究会(埼玉県中小企業診断協会登録)の皆さんにもご参加いただきました。

1.講師・廣水乃生さんについて

 廣水さんは、元数学教師。複雑で難しい問題に取り組むことが大好きで、そこから紛争解決の専門家になり、さらには某アウトドア会社で合意形成型戦略策定の支援を10年されたという経歴の持ち主。現在は、中小企業のSX支援やコモンズづくりに取り組んでおられるとのこと。

 今回のテーマは、「SX実現に向けた協働と協業へのキックオフ~サステナブル経営のために、今、中小企業に必要なトランスフォーメーション~」と題してお話しをいただきました。ブレークアウトルームに分かれてのアイスブレイクで、参加者各自が中小企業診断士になったきっかけ、SDGsに関心を持ったきっかけを交流した後、本題に入りました。

2.講演内容

 冒頭、「持続可能な社会の実現には、右肩上がりの経済成長思考をパラダイムシフトし、中央集権を自律分散型に変容しなければならない、そのために必要なのがSX(Sustainable Transformation)である」と問題提起。SX実現にはビジネスとコミュニティと教育の変容が必要であり、それを促進するのがDXであると整理されました。
今回は中小企業診断士対象ということもあり、ビジネスのトランスフォーメーション(BX)を中心にお話しいただきました。

講演資料より。SXの実現のために必要な要素を図示したもの

 まず中小企業がSDGs経営に取り組まなければならない理由として、①ESGの視点からの要請、②化石エネルギー依存のリスク、③テクノロジーの発展による働き方やビジネスの変化、が中小企業に変容を迫っており、それに対応できなければ生き残れないという点を指摘。その変容には、ESGに基づいた戦略策定、原材料調達の見直し、テクノロジーや働き方の変化への対応が不可欠とのこと。

 企業のアプローチには、Tier1 自社(コンサルティング)、Tier2 サプライチェーン(業界エコシステムデザイン)、Tier3 社会(地域プラットフォーム=共創の場づくり)の3つのレイヤーがあり、それぞれのレイヤーに対応したソシューションが必要、それを中小企業診断士の皆さんとやっていきたいと呼びかけていただきました。

3つのレイヤーのうち、個社支援こそは診断士の力の発揮場所!

 循環型のビジネスに移行するためには、原材料、エネルギー、調達、廃棄物の4つの観点でビジネスを根本的に見直していかねば持続可能でないというご意見がありました。
 その実例として、廣水さんが全体コーディネートを手掛ける企業の紹介もありました。SXに関して相談をされたあるクリーニング業者さんは、喫緊の課題として高騰する重油価格が負担になっている重油ボイラーの代替を模索。事業再構築補助金も利用して、4事業者のパートナーシップで、牛糞からメタンガスを製造し、それをクリーニング用に電気と熱で使用、メタンの発酵かすはたい肥に、廃液も牛の栄養剤にと、いくつもの循環からなるビジネスモデルを進めているとのことです。

 

循環型のビジネスに移行するうえで、抜本的に見直しを図らねばならない要素を絞って教えていただきました

3.SX分野での診断士との協業可能性

 最後に中小企業診断士の皆さんとSXコンサルティングに取り組みたい、そのために必要なのは、あらゆる物事を持続可能性の観点から見直すサステナビリティ感性と木材を余すことなく利用するやり方から着想を得たカスケード思考の2つ、それもともに学んでいこうと呼びかけていただきました。

診断士との協業によるSXコンサルティング。夢が広がります!

 例会終了後も廣水さんも交えて放課後と題したアフタートーク。人口減少社会を見据えたインフラ整備、森と関わることで身につく時間感覚、オフグリッドで考える運輸・食糧・エネルギー問題など、多岐にわたるテーマで盛り上がりました。キーワードは「胸熱」(!)です。 実践への機運が高まる例会となりました。

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