第53回の定例会は、日本を含めた世界中の気候変動対策についての現状と、中小企業にどのような影響が発生しそうか、当会会員を講師とした勉強会を実施いたしました。
今回のお題は大きく分けて二つ。
① SDGs13番目のゴール「気候変動」と関係の深い「パリ協定」について振り返り、
② パリ協定にコミットする『移行計画』について理解を深めよう
と、いうものです。
・・・・・・専門用語が並びますね。。。
ここで、一般的にはあまり耳慣れない『移行計画』について、先に少し触れさせていただきます。
簡単に申し上げますと、企業が気候変動の抑止に向けて
・どのような目標を実現するために
・どのような行動を
・いつまでのタイムラインで
・誰が責任をもって実行するか
を明らかにし、具体的に経営戦略に落とし込むことでその実効性を明らかにするためのものです。
日本国内でも、2027年以降「時価総額3兆円以上のプライム上場企業」からサステナビリティ開示基準に基づく開示が義務付けられ、この移行計画も開示対象に含まれるとあって、大企業や気候変動の影響を受ける産業に関係する方々にとっては喫緊の課題となりつつあります。
また、近年の傾向としてこうしたサステナブル経営に関わる事柄は『サプライチェーン全体の問題』と捉えられることも多く、対象企業と取引を行う会社様においても、重大な経営課題になることも想定されます。
また、サステナビリティ開示基準に基づく開示対象となる時価総額は3兆円から1兆円、5000億円と引き下げられていき、いずれは全てのプライム上場企業に義務付けられることが確実視されています。
このため、サステナビリティ開示の一部である移行計画についても多くの上場企業で立立案されることとなり、中小企業にとってもサプライヤーとして何らかの対処が必要となるものと予測されます。
そこで今回は、前述のパリ協定や移行計画に関するインプットとともに、
「うちの大手取引先さんが移行計画を策定するらしいんだが、、、当社して何か事前に手を打っておく必要があるのかな」
というご相談を受けたという想定で、中小企業診断士としてどんなお手伝いができそうかを考えるワークを実施しました。
ワークを含めた今回の勉強会の全体像は下記の通りで、学習内容の概略とともに記載いたします。
① パリ協定の超概略
◎京都議定書から始まった本協定の現在位置について。
➡下図ご参照ください
◎参加国間の約束
➡いくつかピックアップします
・温暖化抑制(2℃。1.5℃に抑える努力)
・全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新
・全ての国が実施状況を報告し、レビューを受ける
…気候変動への対応の為、PDCAを回していこうとする方向性がうかがえます。
◎移行計画とのつながりについて
➡パリ協定を受けて、2017年にTCFD※が提言
※気候関連財務情報開示タスクフォース。企業による気候変動関連のリスク・機会を織り込んだ財務情報の開示を促す

脱炭素ポータル「COP(コップ)ってなに? 気候変動に関するCOPを紹介」より
② 移行計画について
◎策定についてのポイント
➡下記の視点が必要
・「誰が」「どのようなことを」実施していくかに加えて、
・「リスクマネジメント」を検討要
(どんなリスクがあるか/対応しないとどうなるか)
◎取引先が移行計画を策定/実行した際の、中小企業への影響は?
・ポジティブ・ネガティブ両方の影響を洗い出し
➡機会となる可能性がある一方でコスト面で負の影響が懸念
診断士思考をもって、機会と脅威を整理しながら助言を行いたい。
・ワークを通した移行計画の分析
➡移行計画は企業により様々。
その企業の独自性を発揮できている計画は投資家サイドから見ても魅力的。
投資意欲を高められるし、先進的な取組となっているところも多い
③ その他、世界的なSDGsに対する現在のスナップショット
◎アメリカ次期政権交代を始めとした、気候変動対策への揺り戻しの風潮
➡教条主義的に捉えられた結果、反動が発生していることと理解
◎気候変動対策の実施が停滞した場合の影響
➡アメリカ自身を含め、既に世界中の激甚災害の発生等に繋がっている
緩和と適応に向け、いかにアプローチしていくか、対応が必要
以上、第53回定例会の報告でした。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
引き続き、当「サステナブル経営/SDGs研究会」に興味を持っていただければ幸いです。
【追記:サステナブル経営への取り組みを検討されている皆様へ】
私たちサステナブル経営/SDGs研究会では、実際に企業様がサステナブル経営を開始されるにあたっての「支援メニュー」を構築し、展開しています。
・サステナブル経営を始めたいが、どんなものかピンときていない
・実施にあたってのメリット・デメリットが明確にならず、取り組みに二の足を踏んでいる。
といった企業経営者やご担当者の方がいらっしゃいましたら、是非私たちにお声掛けください。
最初のご相談からだけでも結構です。皆様とともに、1社でも多くの企業様がサステナブル経営に取り組むようになれば嬉しく思っています。