第51回の定例会は、当会会員よりエシカル消費についてお話をしていただきました。エシカル(Ethical)は日本語で「倫理的な」と訳されます、また、消費者庁による説明では「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」として定義されています。一人の消費者の視点で考えたときに、どのような消費行動が望ましいのか、ということや、マーケティング活動を行う企業の視点で考えたときに、消費者にどのようなアプローチをすべきなのか、といったことを考えるきっかけとなり、有意義な例会となりました。
Ⅰ.エシカル消費とは
前述のとおり、エシカル消費とは社会課題の解決に繋がる消費行動であり、消費者一人ひとりが「人や社会に配慮した消費」「環境に配慮した消費」「地域に配慮した消費」に取組むことです。果たして一人ひとりの消費行動が未来に影響を及ぼすことができるのだろうか? そのような疑問をお持ちになるかも知れませんが、日本では消費生活がGDPの52%を占めており(令和3年度消費者白書)、消費者の行動は日本の経済社会に対して大いに影響を与えるものだと言えます。
では、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか? 消費者庁によるYouTube動画が参考になります(https://www.youtube.com/watch?v=8Oytz49rKNU)。このなかでは、「リサイクルや再利用を行う」「オーガニック消費を選ぶ」「買わない選択をする」「認証ラベル入の商品を選択する」といったことが挙げられており、日常のなかでできる「ちょっとイイこと」が社会を良くすることに繋がっていると説明されています。こういった消費行動は「イミ消費」の一部であると言え、商品やサービスの機能や価格だけではなく、その背景にある社会的・文化的意味やストーリー、貢献性などを重視するという、2010年代以降に見られる消費行動とも合致します。特にB to Cのビジネスを展開する企業は、今後、こういった消費傾向を意識する必要があると言えるでしょう。

Ⅱ.認証マーク・企業の事例について
消費者がエシカル消費を実際に行う際の一つの目安として認証マークがあります。認証マークは、第三者機関がその基準を満たしていることを保証し、消費者に信頼感を提供するためのものです。消費者は認証マークを見るだけで、その商品がどのように作られたのかを簡単に知ることができ、複雑な背景を理解せずともエシカル消費が可能となります。また商品を提供する企業側としても、エシカルな取り組みを認められることで他社商品との差別化に繋がり、同時に、認証基準が国際的な基準に準じているため、グローバルな課題に対応するための一助ともなります。今回の例会では「フェアトレードラベル(国際フェアトレードラベル機構)」や「FSCトレードマーク(FSCジャパン)」、「レインフォレスト・アライアンス(RSPO International)」などの各種認証マークをご紹介いただきました。
また企業の取り組み事例としては、ロクシタン(化粧品メーカー)による、自社商品の原料の一部であるシアバターの生産者(ブルキナファソの女性)とのフェアトレードや支援活動、そして、ケルン(パン製造小売)による、「ツナグパン」と呼ばれるフードロス削減と福祉施設支援の取り組みをご紹介いただきました。
以上、第51回定例会の報告でした。
当研究会では今後も、多方面にサステナビリティ経営やSDGsの意義を普及し実践していくべく、活動してまいります。
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