第46回の定例会は、「『サステナブル経営のジレンマ』を読む」と題して、オンラインで開催しました。なんと、著者である川井健史氏(以下では、親しみを込めて「もぐさん」と呼ばせていただきます)をゲストにお迎えした読書会を開催することができました。
以下では、例会の様子を簡単に振り返ります。
1.読書会
基本的な構成としては、各章の要点を筆者なりに理解しまとめた内容を紹介したうえで、適宜、著者・もぐさんのリアルタイム解説やエピソードを挟みながら進行していきました。

今回、本書を読書会のテーマとして取り上げたきっかけは、既存事業へのSDGsの紐づけ、いわゆる「ワッペン貼り」だけが先行し、本当に必要な事業の変革が起きなかったという本書の課題意識が、我々にも強く共感するものであったためです。

本来あるべきサステナビリティ経営は、社会の持続可能性を考慮しつつ事業の存続と企業価値の向上を図っていく企業経営のあり方のはずですが、しかしその実現には課題が山積しています。本書では、サステナビリティ経営の実現を阻む「5つのジレンマ」が紹介されていました。

本書では、サステナビリティ経営のアップデートに向けて、マテリアリティ(自社における重要な課題)の再定義が必要であると説いています。そして、マテリアリティの再定義と、その進捗管理にかかるKPIの設定により、理想の未来を描き、自社視点課題と社会課題とをリンクしてジブンゴトとして取り組むための手法が紹介されています。これらの取組により、「経営理念」「経営計画」「事業合理性」のジレンマを解決することができると説いています。

そして、SDGsのワッペン貼りから脱却し、イノベーションを通じて社会的に大きなインパクトを与え続けるうえで、CSV Model Canvasというフレームワークが紹介されています。一連の検討により、顧客とのパートナーシップの構築、社会課題と顧客課題を統合することにより、「経済合理性」「経営資源」のジレンマの解決を目指します。

なお、『サステナビリティ経営のジレンマ』各章の詳細の解説は、著者サイトをご参照ください。
2.サステナビリティ経営のジレンマを乗り越えるために

最後に、「サステナビリティ経営のジレンマ」を乗り越えるために、というテーマで、参加者の質問を受けつつ、パネルディスカッション形式で意見を交わしました。特に、もぐさんからは、著書にも紹介されていたメンバーズさんでの実践事例等について詳しいお話しをうかがうことができました。

今回、著者をお迎えしての読書会ということで、リアルタイムでのセッションにおいて様々なお考えに接する貴重な機会を得ることができました。
当研究会では、今後もサステナビリティ経営やSDGsの意義を普及し実践していくべく、多方面に活動してまいります。
今後ともご支援・ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。