第41回定例会 活動報告(2024.1.17)

第41回定例会は、①ゲストによる講演と、②研究会の分科会活動報告という2部構成で実施しました。

①ゲスト講演では、持続可能な養鶏業を目指して取り組む「しゅりの里」藤田守さんに、森林保全と養鶏を組み合わせた意欲的な事業計画の概要をお聞かせいただきました。続いて、②研究会の分科会活動では、「学び」「実践」の両面で活動を続ける各分科会の1年間の活動の総括を行いました。

1.ゲスト講演

「Forestrange – 地球温暖化を救う再生循環炭素固定農法を活用した究極の放し飼い養鶏」と題して、「しゅりの里」藤田守さんにご講演いただいた内容をお伝えします。

藤田さんは2002年、高知県三原村で養鶏事業を創業。電気もガスも水道もない土地で、開墾からのスタート。「放し飼い卵」と銘打ち、鶏のアニマルウェルフェアを実現しつつおいしい卵を生産するまでには様々なご苦労があり、ようやく事業が軌道に乗り始めたころ、獣害や台風被害を立て続けに受け、やむなく一度は事業継続の断念に追い込まれたそうです。

そして今、「アグロフォレストリー」を養鶏に活かすという手法での事業再構築に挑まれています。

アグロフォレストリーとは、Agriculture(農業)とForestory(林業)を掛け合わせた造語であり、樹木を植栽し、樹間で家畜・農産物を飼育・栽培する農林業のこと。

効率を重視する養鶏では、狭い鶏小屋の中で自由に身動きもできない状況で卵を採取するのが一般的です。しかし、アグロフォレストリーを取り入れることで、囲いとして桑の木などを植えて囲いを作り、広々とした森林の中で放し飼いにします。ストレスフリーな環境でのびのびと鶏さんたちは育ち、しかも鶏は地面をひっかく習性があるため、森の下草刈りを行うことで苗木の成木への成長を助けます。これにより森林の育成につながり、炭素の固定を図れるというメリットがあり、この点で通常の放し飼いと異なります。

藤田さんは、これを「Forestrange(森の中での放し飼い)」と名付け、森林の中で行う循環型の養鶏と位置づけ、今まさに事業化しようと尽力されています。

今回、持続可能な養鶏業という意欲的な事業計画での再出発を目指す藤田さんの思いに応え、当研究会としても何かしら支援したいとの思いから有志が立ち上がり、支援チームが結成されました。今後、本格的な支援に向けて正式な支援チームの組成とフォローアップを行うことを予定しています。

2.分科会活動報告

続いて、当研究会の分科会の活動報告を行いました。当研究会では、例会とは別に分科会を設け、現在4つの分科会が活動しています。

それらの各々の活動内容と現況については、以下の通りです。

基礎勉強会
  • 毎月第4日曜日の朝8:00~9:00に読書会を開催中。毎回課題図書を設定し、読み合わせと議論を通じて、知識のレベルアップを図っています。
  • これまでの対象図書は、『60分でわかる! SDGs超入門』『2030アジェンダ(外務省仮訳)』『SDGs-持続可能な開発目標(蟹江憲史著)』などです。
  • 一通りSDGsの基本知識を押さえたうえで、基礎読書会をこのまま進めるか、それとも中小企業向けの実践的な支援につながるコンテンツの開発に向けた内容に改めてコンテンツ等を共有・議論していくか、読書会活動も岐路に立っており、改めてその位置づけについて検討する段階となっています。

ミニ支援パック・営業チーム
  • このチームでは、SDGs対応支援を含めた、中小企業でのサステナビリティ経営の実現に向けた支援に向けて、現在は8名の参加者にて活動中です。
  • 具体的な活動のテーマとしては以下の通りです。
    ①新たな支援先とのつながりづくり
    ②支援メニューづくり
    ③自治体や公的機関への働きかけ
  • 今後、支援メニューを充実させつつ、より実践的な支援を実現すべく、模索と検討、試行を続けていく予定です。

教育機関との連携・コンテンツ作成
  • こちらは、やや異色の分科会です。勤め先でSDGsの推進に取り組む仲谷さんが、自社の採用PRを兼ねて工業高校と連携し、開発に取り組んでおられる課外授業のコンテンツづくりに、研究会として協力しているものです。
  • 具体的には、工業高校の学生向けに、単なる工場見学にとどまらず、自社が提供する社会的な価値についてサステナビリティの観点から講義するプログラムを開発されました。実施した結果、高校生のキャリア教育としても評価が高く、先生方か高い評価を得られたとのことでした。

個別団体支援事例
  • 個別団体の支援では、小豆島でご活躍の会員診断士、田中さんを中心に活動しています。具体的には、オリーブの植樹活動をされているNPOの支援、および、海ごみゼロを目指し海岸のごみ収集や、海ごみの回収設備の開発のため活動されているNPO・クリアン(以前、当研究会で講義いただいたこともあります)の支援事例についても共有されました。
  • また、上記の他、民間企業の支援に向けた試みについても共有されました。

以上、当研究会では今後も、多方面にサステナビリティ経営やSDGsの意義を普及し実践していくべく、活動してまいります。

ご支援・ご理解・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

コメントを残す